
「夕方になると靴がきつくなる」「足が重くてだるい」。足のむくみは、多くの人が日常的に感じる身近な症状のひとつでしょう。一時的な疲れとして見過ごされがちですが、実は身体の変化を知らせるサインとして現れているケースもあります。
本記事では、足のむくみが起こる仕組みから、主な原因、日常生活で取り入れやすい対策、医療機関を受診する目安まで詳しく紹介します。
1.足のむくみとは

いわゆる「むくみ」とは、体内の水分バランスが崩れ、余分な水分が皮膚の下に溜まることで、腫れや重だるさとして現れる状態です。医学的には浮腫(ふしゅ)と呼ばれます。
私たちの身体の約60%は水分でできており、その水分は細胞の中と細胞の外(血液・リンパ液など)に分かれて存在しています。通常はこれらがバランスよく保たれていますが、何らかの原因で血管の外に水分が染み出し、細胞の外の水分(組織間液)が増えすぎると、むくみが生じます。
特に足は心臓から遠く、重力の影響を受けやすいため、水分が溜まりやすい部位です。そのため、全身の中でもむくみが目立ちやすいとされています。
むくみのセルフチェック方法
- 指で押してみる
すねや足の甲を数秒押し、離した後にへこみが残って戻りにくい場合は、むくみの可能性があります。 - 靴下の跡が残る
靴下を脱いだ後もゴムの跡がなかなか消えない場合は、水分が溜まっているサインです。 - 靴がきつく感じる
朝は問題なく履けていた靴が、夕方になると窮屈に感じるのも、足に水分が溜まっている状態と考えられます。
2.足のむくみの原因

むくみの原因は大きく分けて、「生活習慣によるもの」「全身の病気によるもの」「血管やリンパのトラブルによるもの」の3つがあります。
多くは一時的な症状ですが、中には医療機関での診察が必要なケースもあるため、違いを理解しておくことが大切です。
生活習慣によるもの
日常的に感じる足のむくみの多くは、生活習慣による一時的なものです。
- 長時間同じ姿勢でいる
ふくらはぎの筋肉が十分に動かないと血液を押し戻す働きが弱まり、水分が足に溜まりやすくなります。 - 塩分の摂り過ぎ
塩分を多く摂ると体は水分を溜め込もうとするため、むくみの原因になります。 - アルコールの摂取
血管が拡張して水分が漏れ出しやすくなる上、おつまみによる塩分過多も影響します。 - ホルモンバランスの変化
生理前や妊娠中は身体が水分を保持しやすくなり、むくみが起こりやすくなります。
全身性のむくみの場合
左右両方の足が同じようにむくむ場合は、心臓・腎臓・肝臓といった主要な臓器の機能低下が隠れていることがあります。
- 心不全
心臓の働きが低下すると血液が静脈に滞り、血管内の圧力が上昇。水分が血管の外に漏れ出し、足のむくみが起こります。 - 腎疾患(ネフローゼ症候群、腎不全など)
余分な水分や塩分を排出する腎臓の機能が低下し、体内に水分が溜まることでむくみの原因になります。 - 肝硬変
水分を血管内に保つタンパク質(アルブミン)が減少し、水分が血管の外へ移動して足のむくみや腹水が生じます。 - 内分泌疾患(甲状腺機能低下症など)
ホルモンの乱れにより水分が皮膚の下に溜まり、押してもへこみにくい硬いむくみが現れることがあります。
局所性のむくみの場合
片方の足だけがむくむ、特定の部位だけが赤く腫れる場合は、血管やリンパのトラブルが原因の可能性があります。
- 下肢静脈瘤
静脈の逆流防止弁がうまく働かず、血液が足に滞ることで、血管の浮き出しやだるさ、むくみが生じます。 - 深部静脈血栓症(エコノミークラス症候群)
足の深い静脈に血栓ができ、片足だけが急にむくみ、痛みや変色を伴うのが特徴です。重症化すると肺塞栓症につながることもあります。 - リンパ浮腫
手術や放射線治療の影響でリンパの流れが滞り、慢性的なむくみが続きます。 - 炎症性浮腫
捻挫や骨折、細菌感染(蜂窩織炎など)による炎症で、患部が熱を持って腫れる状態です。
3.セルフケアでできるむくみの予防・解消法

病気が原因ではない一時的なむくみであれば、日常の工夫で改善が期待できます。ここでは、足のむくみ対策として取り入れやすいセルフケアを紹介します。
こまめに姿勢を変える
同じ姿勢が続くと血流が滞り、足に水分が溜まりやすくなります。デスクワーク中でもつま先やかかとの上げ下げを行うなど、30分に一度は足を動かすことが大切です。
また、就寝時や休憩時にクッションやタオルを使って足を心臓より少し高い位置に保つと、重力の働きで足の水分が戻りやすくなります。
血行とリンパの流れを促す
忙しいとシャワーで済ませがちですが、40℃前後のぬるめのお湯にゆっくり浸かると血管が広がり、水圧の作用も加わって血流が促進されます。
さらに、足先から膝裏、太ももの付け根へと下から上へさするようにマッサージするとリンパの流れが整いやすくなります。着圧ストッキングを活用するのも、血液の戻りを助ける有効な方法です。
適度な運動を習慣にする
ふくらはぎの筋肉をしっかり使うウォーキングは、むくみ対策の基本です。1日20分を目安に、大股を意識して歩くことで血液やリンパの流れが改善しやすくなります。また、アキレス腱を伸ばす動きや、足の指をぎゅっと握って開くグーパー運動は、末端の血流を促し、むくみの予防につながります。
食生活を見直す
塩分の摂り過ぎは体に水分を溜め込む原因になるため、味付けを薄めにするなど日常的な工夫が重要です。余分な塩分の排出を助けるカリウムを含む野菜や果物、海藻類を取り入れることも効果的ですが、腎臓の持病がある場合は医師に相談しましょう。
また、血液中の水分バランスを保つため、肉・魚・卵・大豆製品などからタンパク質をバランスよく摂ることも大切です。
4.むくみで医療機関を受診すべきケースとは
以下のような症状が見られるときは自己判断せず、内科・循環器内科・腎臓内科などの医療機関を受診しましょう。
急を要するケース
- 急激に片足だけがむくむ
- 息切れや呼吸困難を伴う
数時間から1~2日で片足だけが急激に腫れ、痛み・赤み・熱感を伴う場合は血栓や感染の可能性があります。また、息切れや呼吸の苦しさ、横になると悪化して座ると楽になるといった症状がある場合は、心臓や肺のトラブルが隠れていることもあり、早急な受診が必要です。
早めの相談が望ましいケース
- 急激な体重増加
- 尿量の減少
- 顔やまぶたもむくむ
食事量が変わっていないのに短期間で体重が増えた、尿量が減った、顔やまぶた・手までむくむといった変化がある場合は、体内に水分が過剰に溜まっている可能性があります。こうしたむくみが続くときは、全身の病気が関係していることもあるため、早めに医療機関へ相談しましょう。
5.足のむくみは身体からのサイン。セルフケアと早めの受診で健康を守ろう
足のむくみは、体内の水分バランスや血流の乱れを知らせるサインです。長時間の同じ姿勢や塩分の摂り過ぎなど、生活習慣が原因となることが多い一方で、心臓や腎臓などの不調が関係しているケースもあります。
まずは、運動や食生活の見直し、マッサージといったセルフケアを取り入れることが大切です。それでも改善しない場合や、急な腫れ・息苦しさなど気になる症状があるときは、自己判断せず医療機関へ相談しましょう。


