情報掲載日:2025/06/24
【管理栄養士監修】ファスティング(断食)の正しいやり方やメリットを解説

近年、よく耳にするようになった「ファスティング(断食)」。ファスティングは単なるダイエット法ではなく、消化器官を休ませて身体の中からリセットする健康法です。適切に実践すれば、体調の改善や生活習慣の見直しに役立ちますが、正しい知識がないまま取り入れると逆効果になる可能性も。

本記事では、ファスティングの基本的なやり方からメリット、知っておきたい注意点まで詳しく解説します。

1.ファスティング(断食)とは

ファスティング(断食)とは

ファスティングとは、一定期間固形物を摂取せずに消化器官を休ませ、身体の内側からリセットを図る健康法です。日本語では「断食」と訳され、古くは宗教的儀式や修行の一環として行われてきました。近年では美容や健康、ダイエットの手段として広く取り入れられています。

ファスティング中は、水や酵素ドリンク、ノンカフェインのお茶など、液体物を中心に摂取します。完全に何も口にしない「絶食」とは異なり、最低限の栄養や水分を補給しながら行うため、身体に過度な負担をかけることなく消化器官を休ませることが可能です。

ファスティングの主な目的は、体内のデトックスを通じて腸内環境を整え、基礎代謝を高めることにあります。消化に使われていたエネルギーや酵素が代謝や排泄に使われるようになり、不調の改善が期待できます。


2.ファスティング(断食)の基本的なやり方

ファスティング(断食)の基本的なやり方

ファスティングは、目的やライフスタイルに合わせて、半日、16時間、1日から1週間など、さまざまな期間を選べます。特に1日以上のファスティングを行う場合は、「準備期」「ファスティング期」「回復期」の3つのステップで進めると安全で効果的です。

準備期

準備期は、ファスティング期間と同じ日数、またはそれ以上の期間を設けて行います。ファスティング期に向けて身体を慣らすために、徐々に食事内容を調整していく大切な期間です。

この期間は、消化に負担がかかる脂っぽいもの、肉類、乳製品、アルコールなどを控え、消化の良い和食中心の食事を心がけましょう。具体的には、野菜、果物、穀物などを中心に、食事量を徐々に減らしていくことで、ファスティング中の身体の負担を和らげることができます。

ファスティング期

ファスティング期は、固形物の摂取を中止し、水、ノンカフェインのお茶、酵素ドリンクなどを積極的に摂取します。特に酵素ドリンクは、ファスティング中の栄養不足と空腹感の緩和に役立つため、積極的に取り入れることをおすすめします。水分は1日2リットル以上を目安に、こまめに摂取するようにしましょう。

この期間は、激しい運動は避け、身体を休ませることに専念してください。無理のない範囲で、散歩などの軽い運動は問題ありません。

回復期

回復期は、ファスティングによって休んでいた消化器官を、ゆっくりと通常の食事に戻していく期間です。ファスティング期間と同じ日数、またはそれ以上の期間を目安に行いましょう。

回復期の最初の食事は、おかゆや具なし味噌汁など、消化に良いものから始めるのが鉄則です。徐々に野菜、魚、卵といった消化の良いタンパク質を少量ずつ取り入れ、通常の食事に戻していきます。

この期間に急に大量の食事を摂ると、身体に大きな負担がかかってしまいます。よく噛んでゆっくり食べることを心掛けるようにしてください。


3.初心者は16時間ファスティングがおすすめ

ファスティングが初めての方には、まずは「16時間ファスティング」から始めることをおすすめします。1日のうち16時間は食事を取らず、残りの8時間で食事を済ませる、短期型のファスティングです。例えば、夕食を20時に終えた場合、翌日の昼12時までは食事を取らないといった方法になります。

睡眠時間もファスティングの時間に充てられることで無理なく続けられるうえ、準備期や回復期も必要ないため、日常生活に取り入れやすいのが特徴です。定期的に行うことで、代謝の向上や太りづらい体質づくりにもつながります。


4.ファスティング(断食)を行うメリット

ファスティング(断食)を行うメリット

ファスティングを行う期間によって効果に差はありますが、ファスティングにはさまざまな健康効果があるとされています。

ダイエット効果が期待できる

固形物を控えることで体は蓄積された脂肪をエネルギー源として使い始めるため、1週間ほどファスティングを続ける場合は体重減少も期待できます。1日程度のファスティングでも、日頃の食生活を見直すきっかけになるでしょう。

腸内環境が整う

現代人の食生活は乱れがちで、それが原因で腸内に悪玉菌が増殖し、腸内環境が悪化している人も少なくありません。食事を一時的に制限することで消化器官が休まり、腸内環境のバランスが整いやすくなります。便通の改善、栄養吸収の向上、さらには免疫力の強化といった効果も期待されます。

肌荒れが改善する

体内の老廃物や毒素の排出が促されることにより、肌のターンオーバーが正常化され、肌荒れの改善や肌質の向上が期待できます。

メンタルヘルスが改善する

腸は「第二の脳」とも呼ばれるほど、メンタルと密接に関係しています。ファスティングにより腸内環境が改善されると、精神を安定させるホルモン「セロトニン」の分泌が促され、ストレス耐性が向上する可能性があります。イライラや不安感が軽減し、ポジティブな思考を保ちやすくなると言われています。


5.ファスティング(断食)による健康リスク

ファスティングは多くのメリットがある一方で、注意すべき点もあります。

ファスティング中はエネルギー不足になりやすく、頭痛や倦怠感、めまい、吐き気などの症状が現れることがあります。こういった症状は、身体がファスティングに順応する過程で起こる「好転反応」と呼ばれることもありますが、症状がひどい場合は無理せず中断するようにしてください。

また、ファスティングに慣れないうちは、食べられないことへの強いストレスを感じる人も少なくありません。空腹感だけでなく、食べることができない精神的な負担が蓄積されると、イライラしたり、集中力が低下したりすることもあります。

なお、ファスティングは、成長期の子どもや、妊娠中・授乳中の方、生理中の方は避けるようにしましょう。生理中は血液が不足しやすいため、ファスティングによって身体的な負荷をかけることで貧血を引き起こす恐れがあります。体調が万全でない時期には、自己判断での無理なファスティングは行わないでください。


6.ファスティング(断食)を正しく取り入れて、心と身体をリセットしよう

ファスティングは、減量効果や腸内環境の改善、精神的なリフレッシュなど、心身ともにさまざまなメリットが期待できます。自己流のやり方や、慣れないうちからの長期的なファスティングは避け、無理のない「16時間ファスティング」から取り入れていきましょう。