情報掲載日:2025/05/15
【医師監修】体脂肪率を減らす生活習慣は?体脂肪の計算方法や適正値を解説

「最近、体重は変わらないのに見た目が気になるようになった」というお悩みはよく聞かれます。体重は気にしていても、体脂肪率まで意識できている人は意外と少ないかもしれません。しかし、見た目の引き締まり具合や健康状態に大きく関わるのが「体脂肪率」です。

本記事では、体脂肪率の正しい計算方法や、男女別の体脂肪率の目安を詳しく解説。さらに、今日から始められる体脂肪率を減らすための生活習慣も、具体的なポイントとともに紹介します。

1.体脂肪率とは

体脂肪率とは

体脂肪率とは、「身体の中で脂肪がどれくらいの割合を占めているか」を表す指標です。体重に対して脂肪が何%含まれているかを示しており、健康管理はもちろん、ダイエットやボディメイクを行う上でもよく使われています。

そもそも体脂肪とは、私たちの身体に蓄えられた脂肪組織のことです。皮膚の下にある「皮下脂肪」と、臓器にまとわりつく「内臓脂肪」の2種類に分けられ、これらを合わせて「体脂肪」と呼びます。体脂肪には、エネルギー源として使われたり、体温を保ったり、内臓を衝撃から守るクッションのような働きがあり、私たちの身体にとって必要なものです。

しかし、脂肪が過剰に蓄積されてしまうと、糖尿病や脂質異常症、高血圧といった生活習慣病のリスクが高まるため、体脂肪率を定期的にチェックしておくことが欠かせません。

BMIとの違い

BMI(Body Mass Index)とは、身長と体重から肥満度を測定できる、国際的にも広く使われている指標です。「体重(kg)÷(身長(m)×身長(m))」の計算式から簡単に求めることができます。日本では、BMIが25以上だと「肥満」、18.5未満は「低体重」とされており、その間の数値が「普通体重」と分類されます。

ただし、BMIは体重と身長を基にした指標であり、体脂肪の割合や分布、特に内臓脂肪の量などについては評価できません。見た目はスリムでも体脂肪が多い「隠れ肥満」のように、BMIの数値だけでは健康状態を正しく判断できないケースもあります。そのため、自分の体の状態をより正確に知りたいときは、体脂肪率も一緒にチェックすることが大切です。


2.体脂肪率の計算方法

体脂肪率は以下の計算式で求めることができます。

体脂肪量(kg)÷体重(kg)×100

ご家庭で手軽に体脂肪率を測りたい場合は、体脂肪計や体組成計を使うのがおすすめです。家庭用の体脂肪計や体組成計では、「水分を多く含む組織は電気を通しやすく、逆に水分が少ない組織は通しにくい」という体の性質を利用して測定を行っています。主に、「生体インピーダンス法」が用いられ、体にごく弱い電流を流し、その電気抵抗を測ることで体脂肪率を算出しています。

ただし、体内の水分量によって電気の流れやすさが変わるため、測定値は日によってばらつきやすいという特徴があります。例えば、運動後や入浴後のように水分量が大きく変化しているときは、正確な数値が出にくくなるため、毎日なるべく同じ時間帯・条件で測定することが大切です。

より正確な体脂肪率を知りたい場合は、ジムや医療機関で使用されている「InBody」などの高精度な体組成測定機器や、X線を使った「DXA法」といった専門的な方法で測定する必要があります。自分の目的や状況に合わせて、適した方法を選びましょう。


3.【男女別】体脂肪率の適正値

体脂肪はエネルギー源であるだけでなく、体温の維持、外部からの衝撃の緩和、ホルモンの正常な分泌など、生命維持に不可欠な役割を担っていますが、その数値は高すぎても低すぎても健康に悪影響を及ぼします。

体脂肪率の平均値は、女性で20~29%、男性で10~19%とされています。これを超えると「肥満」と判定され、重大な疾患に発展する可能性も。日頃から体脂肪率を意識し、食事や運動を通じて適正な範囲に保つことが重要です。

体脂肪率が高いことによる健康リスク

体脂肪率が高くなると、糖尿病や高血圧などの生活習慣病のリスクが高まり、それが引き金となって心筋梗塞や脳梗塞といった命に関わる病気につながる恐れがあります。特に女性の場合は、体脂肪の増加によってホルモンバランスが乱れ、月経不順や不妊症などの婦人科系の問題を引き起こすこともあり、注意が必要です。

体脂肪率が低いことによる健康リスク

体脂肪が極端に少ない状態が続くと、エネルギー不足により疲れやすくなったり、免疫力が低下して病気にかかりやすくなったりなど、さまざまな健康への悪影響が現れます。特に女性の場合、体脂肪率が低すぎると、ホルモンバランスが崩れやすくなり、月経異常が起こる可能性も。

また、妊娠中の母親がやせすぎていると、生まれてくる赤ちゃんが体重2,500g未満の「低出生体重児」となる傾向があり、将来的に生活習慣病にかかるリスクが高まるとも指摘されています。


4.体脂肪率が高くなる原因

体脂肪率が高くなる原因

体脂肪率が高くなる主な原因は、「摂取エネルギーが消費エネルギーを上回る」ためです。食べ過ぎや運動不足といった不規則な生活習慣が続くと、使いきれなかったエネルギーが脂肪として体に蓄えられ、体脂肪率は高くなります。

特に、脂質や糖質の多い高カロリーな食事、アルコールの過剰摂取、さらには間食や夜食の習慣がある方は注意が必要です。また、タンパク質や食物繊維が不足した偏った食事内容や、早食いの癖があると満腹感を得にくくなり、知らず知らずのうちに食べ過ぎにつながることもあります。

一方で、日常的に身体を動かさないライフスタイルも体脂肪の増加を助長します。例えば、デスクワーク中心の仕事や、車や電車移動が多い生活では、自然とエネルギー消費量が減少します。さらに、運動を習慣化していないと、筋肉量が減少して基礎代謝が低下するため、同じ量の食事を摂っても脂肪として蓄積されやすくなります。


5.体脂肪率を減らす生活習慣

体脂肪率を減らす生活習慣

体脂肪率を減らすには、無理なダイエットではなく、バランスの取れた生活習慣を継続することが大切です。体脂肪率を下げるために意識したい食事や運動、睡眠方法のコツを4つ紹介します。

栄養バランスを重視した食事

食事は「脂肪を溜めにくく、筋肉を維持すること」を意識し、栄養バランスの取れた食事内容にしましょう。なかでも、タンパク質は筋肉の維持・合成に役立ち、満腹感も持続しやすいため、高タンパクな鶏むね肉や魚介類、大豆製品などを積極的に食べることをおすすめします。

一方で、カロリーが高く、脂質の多い揚げ物やスナック菓子は体脂肪が蓄積しやすく、できる限り控えるのが望ましいでしょう。また、白米、パン、麺類などに含まれる糖質も、血糖値を急激に上げやすいため、全粒穀物や玄米などに置き換えるとより健康的です。

食べ過ぎを防ぐためにも、食事は腹八分目を心がけ、よく噛んでゆっくり食べるようにしましょう。食べる速度を遅くすれば満腹感も得やすくなり、総摂取カロリーを抑えることができます。

有酸素運動+筋トレを組み合わせた運動習慣

体脂肪率を下げるためには、摂取エネルギーを抑えるだけでなく、消費エネルギーを増やすことも欠かせません。有酸素運動で脂肪を燃焼しながら、筋力トレーニングで基礎代謝を高めると効率よく消費エネルギーを増やすことができます。

ウォーキング、ジョギング、水泳、サイクリングなどの有酸素運動に加え、スクワット、腕立て伏せ、腹筋などの自重トレーニングや、ダンベルなどを使ったトレーニングを取り入れると効果的です。週に3回、1日あたり30分以上を目安に継続しましょう。

また、日常生活の中で身体を動かす機会を増やすことも重要です。エレベーターやエスカレーターではなく階段を使ったり、近距離の移動は徒歩や自転車にしたりなど、日々の少しの工夫で自然と活動量を増やすことができます。

1日7時間前後を目安とした十分な睡眠

睡眠不足は食欲増進ホルモンの分泌を促し、代謝を低下させます。また、夜更かしをすると深夜に間食をするリスクも高まり、生活リズムが乱れることで体内時計が狂い、さらなる代謝の低下を招くこともあります。毎日同じ時間に寝起きすることを心がけ、質の高い睡眠を確保するようにしましょう。

こまめな水分補給

水分補給は血行を良くし、基礎代謝を高める効果が期待できます。目安としては、1日に1.5~2リットルの摂取がおすすめです。特に朝起きてすぐにコップ1杯、運動中や食事中にもこまめに水分を摂るようにすれば、代謝の維持にも役立ちます。


6.毎日の積み重ねで、体脂肪率は減らせる!

体脂肪率は、体重を減らすだけではなかなか改善されません。正しい方法で自分の体脂肪率を知ることから始め、適正数値を目指して、バランスの取れた食事や適度な運動を継続しましょう。

普段の食事内容を見直したり、こまめに身体を動かす習慣をつけたり、質の良い睡眠を意識することで、体脂肪は少しずつ減らすことができます。見た目の変化だけでなく、身体の内側から整えていくことで、より健やかな毎日を手に入れましょう。