
蓄積すると体型に影響を及ぼす「内臓脂肪」。健康診断の結果を見たり、体型の変化を周囲の人から指摘されたりして、内臓脂肪が気になり出した人も多いのではないでしょうか。また、一見太って見えなくてもCTスキャンで確認すると内臓脂肪が蓄積されているケースもあります。
本記事では内臓脂肪の役割や増えすぎることによる健康への影響とともに、内臓脂肪を減らすための運動や食事のポイントを紹介します。
1.内臓脂肪とは?

内臓脂肪は胃や腸などの臓器のまわりにつく脂肪のことで、摂取したエネルギーを一時的に蓄えたり、エネルギーを供給したりする役割を担っています。ただし、増えすぎると様々な健康リスクをもたらすとの報告がなされているため注意が必要です。
内臓脂肪を減らすべきか判断に悩む場合は、おへその高さで腹囲を測ってみましょう。男性なら腹囲85cm以上、女性なら腹囲90cm以上ある場合は内臓脂肪が増えすぎている可能性が高いと言えます。
内臓脂肪が蓄積する主な原因
内臓脂肪が蓄積する原因は、消費カロリーよりも摂取カロリーが多い状態(エネルギーの過剰)が続くことです。特に、以下のような要因が深く関係しています。
糖質や脂質の過剰摂取
白米やパン、麺類の食べすぎ、揚げ物やスナック菓子の摂りすぎは、余ったエネルギーがそのまま内臓脂肪の蓄積につながりやすくなります。
運動不足
日常生活で体を動かす機会が少ないと、消費エネルギーが減少し、脂肪が燃焼されにくくなります。
加齢による基礎代謝の低下
人間は年齢を重ねるごとに、何もしなくても消費される基礎代謝量が低下します。若い頃と同じ食事内容を続けているだけでも、自然と内臓脂肪が溜まりやすくなります。
内臓脂肪と皮下脂肪の違い

体脂肪には「内臓脂肪」と「皮下脂肪」の2つがあります。内臓脂肪は内臓の周りにつきますが、皮膚のすぐ下の組織につく皮下脂肪は、下腹部やお尻、太もも、二の腕などの部位につきやすいという特徴があります。皮下脂肪は外的刺激から体を守る緩衝材となったり、体温を維持したりする役割を果たしています。
内臓脂肪が過剰に蓄積する内臓脂肪型肥満(リンゴ型肥満)は比較的男性に多く、皮下脂肪が過剰に蓄積する皮下脂肪型肥満(洋ナシ型肥満)は女性に多い傾向があります。
内臓脂肪が増えすぎると起きるリスク
高血圧、脂質異常、高血糖などの生活習慣に関係する病気には、内臓脂肪の増加が深く関わっていると考えられています。内臓脂肪の蓄積※が認められ、かつ血圧、血糖、血清脂質のうち2つ以上が基準値から外れている状態が「メタボリックシンドローム(通称メタボ)」です。
※内臓脂肪面積が100cm²以上。正確に測るには腹部CT検査が必要ですが、男性は85cm以上、女性は90cm以上の腹囲で内臓脂肪面積が100cm²以上に相当すると考えられています。
健康維持のためには運動不足の解消や食生活の改善で内臓脂肪を減らす努力が必要です。
2.内臓脂肪を減らす運動のポイント

内臓脂肪を減らすには、有酸素運動を中心に筋力トレーニングを組み合わせるとよいでしょう。
有酸素運動を継続的に行う
ウォーキングやランニングなどの有酸素運動は、内臓脂肪の減少に効果的です。また、厚生労働省は健康的な体づくりのために、普通に歩く時の強度以上の身体活動を1日に60分行うこと(※18~64歳向け)を推奨しています。最初からまとまった時間を取ることは難しいかもしれませんが、まずは今より10分多く体を動かすことを心がけましょう。
参考:厚生労働省「健康づくりのための身体活動・運動ガイド 2023」
筋力トレーニングを取り入れる
有酸素運動に筋力トレーニングも加えると基礎代謝量が増えて、内臓脂肪を減らしやすくなるため、脂肪のつきにくい体づくりに役立ちます。腹筋やスクワットなど、自宅でできる運動から始めてみましょう。
また、筋力トレーニング後は代謝が高い状態になるため、有酸素運動がより効果的になるのもポイントです。10分ほどの筋力トレーニング後に、ウォーキングやジョギングを行うことをおすすめします。
3.内臓脂肪を減らす食事のポイント
内臓脂肪を減らすには、運動だけでなく、食事にも気を付けたいところです。ここでは、推奨したい食事の摂り方と、内臓脂肪の減少が期待できる食材を紹介します。
糖質と脂質の摂取量を見直す
内臓脂肪を減らす大原則は、エネルギーの過剰摂取を防ぐことです。そのためには、特に脂肪になりやすい糖質と脂質のバランスを見直す必要があります。
主食となる白米、パン、麺類などの炭水化物は、毎食の量を抑えるように意識しましょう。また、調理に使う油や肉の脂身(バラ肉など)を控え、代わりにアマニ油やエゴマ油、オリーブオイルといった良質な脂質(不飽和脂肪酸)を適量取り入れることをおすすめします。
食物繊維を積極的に摂取する
食物繊維は、内臓脂肪対策に欠かせない強い味方です。特に水に溶ける水溶性食物繊維は、小腸での糖質や脂質の吸収を遅らせ、血糖値の急上昇を抑える働きがあります。
食事の際は、まず野菜、きのこ、海藻類などのおかずから食べ始めるベジタブルファースト(ベジファースト)を徹底しましょう。これにより、後から食べる炭水化物の吸収が穏やかになり、インスリン(血糖値を下げ、脂肪の合成にも関わるホルモン)の過剰な分泌を抑えることができます。
たんぱく質をしっかり摂って代謝をキープ
食事制限によって筋肉量が落ちてしまうと、基礎代謝が下がり、リバウンドしやすい体になってしまいます。筋肉の材料となる、たんぱく質は毎食欠かさず摂取しましょう。目安は、毎食約20~30gです。
おすすめの食材は、鶏むね肉、ささみ、牛や豚の赤身肉、白身魚、青魚、豆腐や納豆などの大豆製品です。特に大豆製品に含まれる大豆ベータコングリシニンには、血中の中性脂肪を低減させ、内臓脂肪を減らすのを助ける効果が確認されています。
アルコールの適量を知る・休肝日を作る
「ビール腹」という言葉があるように、飲酒量には注意が必要です。アルコールは純アルコール1gあたり約7kcalと高カロリーなだけでなく、体内に入ると最優先で分解されるため、一緒に食べたおつまみの脂質や糖質がそのまま脂肪として蓄積されやすくなります。
さらに、アルコールの過剰摂取は肝臓での脂肪合成を促します。お酒を飲む場合は、以下のルールを心がけましょう。
- ビールなら中ビン1本、日本酒なら1合程度を上限とする
- 糖質の少ないハイボールや焼酎(水割り・お茶割り)などを選ぶ
- 週に最低2日は休肝日を設け、肝臓を休ませる
内臓脂肪の減少をサポートする食材を取り入れる

日常的に摂取する食材や飲み物の中には、内臓脂肪減少への関与が示唆されているものがあります。今回は5つの食品・飲料に絞り、おすすめの摂取方法や注意点をあわせて紹介します。
お酢
黒酢やりんご酢などのお酢の主成分は、酢酸です。この酢酸を継続的に摂ると、内臓脂肪が減少するという報告があります。
ほかにも、食後血糖値の上昇抑制や高めの血圧の低下などの働きが報告されているお酢。野菜とあえてピクルスやマリネ、酢の物として食べるのがおすすめですが、手軽に摂れるドリンクタイプやサプリメントも活用しましょう。
りんご
りんごに含まれる「プロシアニジン」というポリフェノールは、脂肪細胞に関係する酵素の発現を促進し、内臓脂肪の蓄積を抑制する働きを持つと言われています。りんごには水溶性食物繊維「ペクチン」や、不溶性食物繊維「セルロース」も含まれており、お通じの改善も報告されています。
りんごの栄養成分を効率よく摂りたいならば、皮付きのまま食べるのがおすすめです。
青魚
青魚は脂肪燃焼効果のあるEPAやDHAなどのオメガ3脂肪酸を多く含む食材です。EPAには腸管での中性脂肪吸収抑制・肝臓での脂肪合成抑制・余分な血中の中性脂肪代謝促進などの働きがあるといわれています。
青魚のなかでも比較的手に入れやすい、アジ・サバ・イワシなどを積極的に摂りましょう。EPAを効率よく摂取できるのはお刺身ですが、寄生虫(アニサキスなど)による食中毒には注意しましょう。
アニサキスによる食中毒予防としては、充分な冷凍または加熱調理(中心温度60℃で1分以上)が有効ですので、家庭では焼き魚や煮魚に調理するのがおすすめです。手軽に摂りたい場合は、缶詰を活用するとよいでしょう。
大豆
タンパク質は肉や魚に豊富に含まれていますが、肉は食べ過ぎると同時に脂質の摂取量も増えてしまうのが難点です。脂質の過剰摂取を避けるために、大豆類などに含まれる植物性タンパク質も摂取しましょう。
大豆製品の中でも、油を使わずに食べられるお豆腐や納豆などの摂取がおすすめです。お豆腐はお味噌汁や冷奴で食べるとよいでしょう。
緑茶
緑茶に豊富に含まれているポリフェノールの一種、カテキンは内臓脂肪を減らすことが報告されています。ただし、緑茶を飲み過ぎるとカフェインの過剰摂取につながってしまうため、量には十分注意しましょう。
4.食事や運動に気を付けて、健康的な体を目指そう!
内臓脂肪が増えすぎると、生活習慣病になるリスクも高まります。とはいえ、内臓脂肪を減らすために、いきなり生活のすべてを完璧に変える必要はありません。最近お腹周りが気になってきた方は、まずは「夕飯の白米を半分にする」「エスカレーターではなく階段を使う」といった、小さな一歩から始めてみてください。



