情報掲載日:2025/06/19
【医師監修】免疫力を高める食べ物とは?今日からできる生活習慣のポイントも解説

免疫力とは、体内に侵入した外敵を素早く察知し、排除する働きを持つ、生まれながらの防御システムです。ストレスや不規則な生活、偏った食事などが重なると、免疫力は気づかないうちに低下し、身体の不調を抱えやすくなることも。

本記事では、免疫力を高めることのメリットから、生活習慣で意識したいポイント、さらにおすすめの栄養素・食材まで詳しく解説します。

1.免疫力を高めるメリット

免疫力を高めるメリット

免疫力は健康維持に重要な役割を果たしています。免疫力を高めることで、具体的に次のようなメリットが期待できます。

病気にかかりにくくなる

免疫力が高まると、風邪やインフルエンザ、胃腸炎などの感染症に対する抵抗力が高まり、病気にかかりにくくなります。ウイルスや細菌が体内に侵入した際にも、免疫細胞が素早く反応して病原体を排除しようと働くため、症状が重くならずに済む、回復が早まるなどの可能性が高まります。

回復力が高くなる

免疫は病気を防ぐだけでなく、身体の修復にも関わっています。小さな擦り傷や打撲、転んでできた傷や筋肉痛、日常の疲れによって生じる身体のダメージを回復させるのも、免疫の重要な役割の一つです。免疫力が高いほど、こうした修復がスムーズに進み、ダメージの蓄積を防ぐことができます。

将来の健康リスクが軽減する

がん、糖尿病、高血圧といった生活習慣病のほか、花粉症、アトピー性皮膚炎などのアレルギー疾患、さらに関節リウマチや自己免疫疾患など、多くの慢性病は免疫の乱れや低下と関係しています。特にがんは、健康な人の体内でも日々発生しているとされますが、免疫システムが正常に働いていれば、がん細胞を発見・排除し、発症を防いでくれます。

免疫力を高く保つことは重大な病気を予防するだけでなく、健康寿命を延ばすうえでも欠かせません。


2.免疫を高める食材とおすすめのレシピ

毎日の食事こそ、免疫力を高めるための基本です。ここでは、免疫力アップに効果的とされる栄養素別に、具体的な食材とおすすめレシピを紹介します。

タンパク質

タンパク質

タンパク質は、筋肉や内臓だけでなく、免疫細胞や抗体の材料となる重要な栄養素です。良質なタンパク質を手軽に摂るには、鶏むね肉やささみ肉、アジやサケなどの魚、卵、乳製品といった動物性食品のほか、豆腐やヨーグルトもおすすめです。特に青魚には、免疫機能を調整するEPAやDHAが豊富です。

【レシピ例】

  • 鶏肉と野菜の蒸し料理
    鶏むね肉やささみを一口大に切り、キャベツ、きのこ、パプリカなどのお好みの野菜と一緒に蒸し器で蒸すだけ。ポン酢やごまドレッシングをかければ、さっぱりと食べられます。
  • サケのムニエル
    サケの切り身に塩胡椒をして薄力粉をまぶし、バターで香ばしく焼き上げます。レモンを絞ると風味が増します。

抗酸化ビタミン

抗酸化ビタミン

抗酸化ビタミンとは、「ビタミンA(β-カロテン)」「ビタミンC」「ビタミンE」のことで、免疫細胞を酸化ストレスから守る働きがあります。例えば、ビタミンAはにんじんやほうれん草などの緑黄色野菜に、ビタミンCは柑橘類やキウイに、ビタミンEはナッツ類やアボカドに豊富です。風邪やインフルエンザが流行する時期には、意識的に摂ることで予防につながります。

【レシピ例】

  • 彩り野菜のグリルサラダ
    パプリカ、ブロッコリー、ナスなどをグリルで焼き、ベビーリーフなどと合わせてオリーブオイルとバルサミコ酢でシンプルに味付けするだけで、野菜本来の甘みや香ばしさが引き立ちます。
  • にんじんとかぼちゃのポタージュ
    にんじんとかぼちゃを柔らかく煮てミキサーにかけます。牛乳や豆乳でのばし、塩胡椒で味を調えれば、野菜の自然な甘みが感じられます。
  • キウイといちごのスムージー
    キウイといちご、少量の水や牛乳をミキサーにかけます。お好みではちみつを加えるのもおすすめです。

食物繊維

食物繊維

食物繊維は、体内の不要な物質を排出し、腸内環境を整えるのに欠かせない栄養素です。特に水溶性の食物繊維は腸内で発酵し、善玉菌のエサとなって腸内の善玉菌を増やします。食物繊維はワカメ、ひじき、しいたけやえのきなどのきのこ類、ごぼう、さつまいもなどに豊富です。さまざまな野菜をバランスよく食べることで、効率的に摂取できます。

【レシピ例】

  • きのこのホイル焼き
    好きなきのこをアルミホイルに包み、バターと醤油少々を加えてオーブントースターで焼きます。しいたけ、しめじ、えのき、エリンギなど、複数のきのこを組み合わせることで、食感にも深みが出ます。
  • ひじきの煮物
    乾燥ひじきを戻し、にんじん、油揚げなどと一緒にだし汁と調味料で煮込みます。にんじんや油揚げを加えることで、栄養バランスが良くなり、満足感もアップします。

発酵食品

発酵食品

ヨーグルト、納豆、味噌、醤油、漬物、キムチなどの発酵食品には、腸内環境を整え、免疫機能を調節する乳酸菌やビフィズス菌といった善玉菌が豊富です。ただし、善玉菌は腸内に定着しづらいため、継続して摂取することで効果が期待できます。

【レシピ例】

  • 豆腐とわかめの味噌汁
    出汁にわかめと豆腐を加え、味噌を溶かし入れます。手軽に作れるため朝食にもおすすめです。
  • ぬか漬け
    市販のぬか床を使って、きゅうりやナスなどを漬け込みます。手軽に善玉菌を摂れるうえ、季節の野菜を使えば、旬の栄養も効率よく取り入れられます。

3.免疫力を高めるために意識したい生活習慣

免疫力は、日々の生活習慣によって大きく左右されます。ここでは、誰でもすぐに始められる、効果的な習慣を5つ紹介します。

適度な運動を行う

運動は血液やリンパの流れを促進し、免疫力を高めます。ただし、激しすぎる運動はストレスホルモンを増やし免疫力を下げることもあるため、ウォーキングや軽いサイクリング、水泳など無理なく続けられる有酸素運動がおすすめです。通勤時に一駅分歩く、エレベーターではなく階段を使うなど、日常生活に運動を自然に取り入れると良いでしょう。

質の良い睡眠をとる

ノンレム睡眠中に分泌される成長ホルモンは、疲労回復や細胞の修復、免疫機能の強化に欠かせません。睡眠不足は感染症への抵抗力を弱めるため、7〜8時間の深い眠りを目指しましょう。寝る前はスマホやパソコンを控え、快適な寝室環境を作ることが大切です。

身体を冷やさないようにする

冷えは血行不良を招き、免疫力の低下につながります。手先や足先、腰、首まわりなど冷えやすい部分を温めることを意識しましょう。38〜40度のお湯に15分ほど浸かると体の芯から温まり、血流も良くなります。

ストレスを溜め込まない

ストレスホルモンのコルチゾールが過剰になると免疫力が落ちます。ストレスを完全に避けるのは難しいですが、音楽鑑賞や読書、散歩、深呼吸、瞑想などリラックスできる時間を積極的に作ることが効果的です。笑うことも免疫を活性化すると言われています。

腸内環境を整える

「腸は免疫の司令塔」と言われるほど、腸と免疫力は密接に関係しています。全身の免疫細胞の約70%が腸に集まっており、腸内環境が良好であるほど免疫システムもスムーズに機能します。食物繊維や発酵食品を積極的に摂り、バランスの良い食生活を心がけて善玉菌を増やしましょう。


4.免疫力を高めて健康な毎日を送りましょう

免疫力を高めることは、病気になりにくい身体を作り、毎日を健康で充実させるために欠かせません。食事や睡眠、運動など、特別なことをしなくても、日々の生活習慣を見直すことで、少しずつ免疫力を高めることができます。おすすめの食材やレシピも取り入れて、無理なく続けられることから始めてみましょう。