
「しっかり寝たはずなのに疲れが取れない」「夜中に何度も目が覚めてしまう」といった悩みはありませんか?睡眠は時間の長さだけでなく、その質が健康や日中のパフォーマンスに直結します。
本記事では、睡眠の質が下がる要因やそれによる健康リスク、今日から実践できる睡眠の質を高める9つの方法を具体的に解説します。
1.質の良い睡眠とは?

成人の適正睡眠時間は約6~8時間と言われています。睡眠の質を上げようと睡眠時間を過度に取ると、かえって睡眠の質を悪化させ、睡眠によって得られる満足感を低下させる恐れがあります。
睡眠の質と聞くと睡眠時間ばかりに注目してしまいますが、重視したいのが「睡眠の質の高さ」です。厚生労働省による「健康づくりのための睡眠ガイド 2023」を参考にすると、個人差はあるものの、以下の状態であれば「質の良い睡眠が取れている」と言えます。
- 睡眠中に規則正しいリズムが保たれ、昼夜のメリハリが明瞭
- 必要な睡眠時間が取れ、日中に眠気や居眠りが生じず、心身の状態も良好である
- レム睡眠とノンレム睡眠のサイクルが規則的で途中で覚醒することが少ない
- 目覚めがすっきりとしている
- 目覚めてからスムーズに行動できる
- 就寝してから入眠までに過度の時間を要しない
- 睡眠で熟睡感を得られる
- 日中、過度の疲労感がなく、意欲なども高い状態にある
良い睡眠には「睡眠時間」と「睡眠の質の高さ」のバランスが重要になります。睡眠時間をコントロールしながら、日々の生活習慣を見直すことで睡眠の質も高めていきましょう。
参考:厚生労働省 「健康づくりのための睡眠ガイド 2023」
2.睡眠の質が下がることによるリスクと要因

睡眠時間があまり取れず、睡眠の質も低下すると注意力や記憶力、作業効率の低下につながります。集中力がなく、意欲も湧きづらい状態になるため、仕事でのミスが増え、車の運転などでも事故を起こしやすくなるでしょう。
睡眠不足はストレスホルモンと強い結びつきがあり、感情のバランスを崩しやすくなる原因の一つです。「些細なことでイライラする」「気分が落ち込むことが増えた」など、次第に不安感や焦燥感を強く感じるようになることも。ひどい場合には「うつ病」といった気分障害につながる可能性もあります。
また、睡眠不足が続くと、食欲増進ホルモン「グレリン」を増やして、食欲抑制ホルモン「レプチン」の分泌を低下させるため、食べ過ぎを招いて肥満につながることも。高血圧や糖尿病を発症しやすくなるほか、これら病気を発端に動脈硬化を起こし、心筋梗塞や脳梗塞などの重篤な病気に発展するリスクもあります。
このように、睡眠の質が下がることは心身の健康を阻害する危険性をはらんでいることを覚えておきましょう。ここからは、睡眠の質を下げる原因を3つ紹介します。
生活習慣
夜更かしは昼夜のサイクルと体内時計のリズムを狂わせ、寝つきや目覚めの悪さ、睡眠中に途中で目が覚めてしまうといった問題を生じさせる原因です。熟睡できないため睡眠による満足感はほとんど得られず、睡眠の質は低下してしまいます。
また、日中あまり運動しないという場合も安眠は得られにくいでしょう。1日中ゴロゴロしていると、運動量が足りないために体は疲労せず、入眠までに時間がかかりやすくなります。ただし、寝る直前の激しすぎる運動は、体の疲労感は感じるものの、睡眠に必要な副交感神経の働きを妨害するため逆効果です。
食生活における原因としては、カフェイン、アルコール、ニコチンの摂りすぎが考えられます。これらの嗜好品には覚醒効果があり、脳の興奮を高めて眠りを浅くします。リラックスやストレス軽減を目的に「寝酒」をする人もいますが、寝つきは良くなっても、アルコールが分解され排出される過程で覚醒しやすくなるため、質の良い睡眠とは言えないでしょう。
睡眠環境
寝室の温度や湿度が適切でなかったり、光や音が気になったりする環境では寝つけないという方も多いかもしれません。とくに光や音は睡眠の質を低下させるストレスにもなり、騒音や明るい照明は眠りを妨害します。
スマホやタブレットの画面から発せられるブルーライトも、睡眠時に分泌される「メラトニン」を抑制させる作用を持つため、体が休息モードにならず寝つけなくなるため要注意です。
このほか、枕やマットレスの高さや硬さがフィットしていないなど、寝具が体に合っていないことでも体は疲れやすくなり熟睡感を得づらくなります。
ストレス
睡眠は副交感神経が優位になることでもたらされますが、ストレスを感じると交感神経の働きが活発になり体が休息モードに入りません。寝つきが悪くなるほか、脳の疲労を回復するノンレム睡眠も少なくなることで、眠りが浅くなって夜中に何度も目が覚めやすくなります。
3.睡眠の質を上げる9つの方法

睡眠の質を改善するには、寝る直前だけでなく、日中の過ごし方や環境作りなど、トータルでの生活習慣を見直すことが重要です。以下の9つのポイントを意識してみましょう。
朝日を浴びる
朝起きたらまずはカーテンを開けて、日光を浴びる習慣を身に付けましょう。朝日を浴びることで体内時計はリセットされ、睡眠と覚醒のリズムが整います。また、日中にも光を浴びることで「メラトニン」の分泌が促され、体内時計のメリハリを高める効果が期待できます。
朝食はしっかりとる
朝食を食べることも体内時計の調整に効果的です。とくに卵やさけ、豚ロース・赤身などには、体内時計のリセット効果を持つ「タンパク質」が含まれているため積極的に摂るようにしましょう。
タンパク質には「トリプトファン」という成分が豊富に含まれており、睡眠をつかさどる「メラトニン」の生成元として利用されます。トリプトファンからメラトニンを生成するまでには約14~16時間ほどかかると言われているため、朝食でタンパク質をとることで就寝時に眠気が促されやすくなります。
日中に適度な運動を行う
1回の運動だけでは効果が弱く、継続した運動習慣を身に付けることが大切です。激しすぎる運動はかえって睡眠を妨げるため、ウォーキングや軽いランニングなどの負担がかかりすぎない有酸素運動を行いましょう。夕方から就寝3時間ほど前までに運動を行うのが効果的で、さらによい睡眠を確保できるはずです。
カフェインとニコチンの摂取タイミングに気を付ける
コーヒーや緑茶に含まれるカフェインには、覚醒作用と利尿作用があります。その効果は摂取後30分から現れ、数時間は持続するため、夕方以降の摂取は控えましょう。
また、タバコに含まれるニコチンにも強い刺激作用があり、睡眠の妨げとなります。寝付きをよくしたいのであれば、午後はノンカフェインの飲み物(ハーブティーや麦茶など)に切り替え、就寝前の喫煙は避けることをおすすめします。
就寝1時間前に入浴する
入浴は副交感神経を活発にさせて、睡眠の質の向上に役立ちます。体の深部温度が上がるため、体がぽかぽかと温かくなって寝つきの良い状態に整えます。就寝1時間くらい前にぬるめのお風呂にゆっくり浸かり、心身の緊張をほぐしましょう。
就寝前はスマホやタブレット端末を見ない
スマホやタブレット端末が発するブルーライトは体内時計を狂わせるため、スマホやタブレット端末の使用は就寝の1~2時間前から控えることをおすすめします。また、同時に部屋の照明を徐々に暗くしていくことで入眠しやすい睡眠環境をつくることも効果的です。
就寝前の「寝酒」は控える
「お酒を飲むとよく眠れる」というのは大きな誤解です。アルコールには一時的な入眠作用がありますが、分解の過程で交感神経を刺激し、睡眠の質を著しく低下させます。夜中に目が覚めやすくなったり、浅い眠りが続いたりする原因になります。
また、利尿作用によりトイレで目が覚める回数も増えてしまいます。良質な睡眠を確保するためには、就寝前の飲酒は控え、晩酌も適量を早めの時間帯に済ませることが大切です。
寝室環境を整える
快適な睡眠には、環境づくりも欠かせません。室温は夏場で25~28度、冬場で15~19度前後、湿度は50%前後が理想とされています。
また、光を遮る遮光カーテンや、自分に合った高さの枕、吸湿性の良い寝具を選ぶことも重要です。静かで暗く、快適な温度が保たれた寝室は、脳を休息モードに切り替えるためのスイッチであるとも言えます。視覚・聴覚・触覚のすべてにおいて、心地よいと感じる空間を目指しましょう。
休日の寝だめは避ける
平日の睡眠不足を解消しようと、休日に昼過ぎまで寝てしまう寝だめは、体内時計を大きく狂わせる原因になります。寝だめは月曜日の朝に体がだるいソーシャル・ジェットラグ(社会的時差ぼけ)を招き、翌週の睡眠の質を下げてしまいます。
休日の起きる時間は、平日との差をプラス2時間以内に留めるのが理想です。どうしても眠い場合は、午後の早い時間に20分程度の昼寝を取り入れ、夜の睡眠リズムを崩さないように調整しましょう。
4.睡眠の質を上げるために毎日の習慣を見直そう
睡眠の質を高めるためには、朝の光を浴びることから始まり、日中の運動、夜の入浴やスマホ制限まで、一日のリズムを整えることが欠かせません。
今回紹介した方法は、どれも今日から始められるものばかりです。まずはご自身の生活に取り入れやすいものから試してみてください。今できることから少しずつ試して、生活習慣や睡眠習慣を改善していきましょう。

