
連日の厳しい暑さで、「体がだるい」「食欲が湧かない」といった夏バテの症状に悩まされていませんか?
本記事では、夏バテを引き起こす原因や、対策に欠かせない栄養素、避けるべきNGな食習慣について解説します。さらに、食欲がない時でも効率よく栄養を補給できる調理の工夫も紹介するので、参考にしてみてください。
1.夏バテを引き起こす原因
夏バテは、単なる暑さによる疲れだけではありません。私たちが何気なく行っている体温調節や、暑さをしのぐための行動が、体に大きな負担をかけているケースが多くあります。
まずは、なぜ夏になると体がだるくなり、食欲が落ちてしまうのか、その具体的な原因を解説します。
体の冷え
夏は冷房の効いた環境で長時間過ごしたり、暑さをしのぐために冷たい飲み物やアイスなどを摂取したりすることが増える季節です。そのため、体が内側から冷えやすく、胃腸の血流や消化機能が低下することで、消化不良や胃もたれ、食欲不振などを引き起こしてしまいます。
できるだけ冷房対策をしたり、常温に近い飲み物を選んだりなどして、体を冷やしすぎない配慮が大切です。
水分・ミネラルの不足
夏場に大量の汗をかくと、体内の水分だけでなく、ナトリウムやカリウムといった健康維持に欠かせないミネラルも一緒に失われがちです。これにより体内の電解質バランスが崩れると、脱水症状に近い状態となり、体がだるい、力が入らないといった夏バテ特有の疲労感に直結しやすくなります。
ビタミンB1の不足
暑さで食欲が落ちると、喉越しの良いそうめんなどの麺類だけで食事を済ませがちという人は少なくないでしょう。しかし、炭水化物をエネルギーに変えるにはビタミンB1が不可欠です。麺類ばかりの偏った食事はビタミンB1を枯渇させ、糖質がエネルギーに変換されずに疲労物質として溜まる原因になります。
2.夏バテ対策に役立つ栄養素と食材

夏バテを予防・改善するためには、低下した代謝をスムーズにし、体力を回復させる栄養素を意識して摂ることが重要です。ここでは、夏の健康維持に役立つ栄養素と、それらを豊富に含むおすすめの食材を紹介します。
ビタミンB1(糖質をエネルギーに変える)
糖質を効率よく燃焼させてエネルギーをつくり、疲労を回復させる最重要の栄養素です。豚肉やうなぎは夏バテ予防の代表格であり、効率的に摂取できます。
また、普段の白米を玄米に変えたり、冷奴などで大豆製品をプラスしたりするだけでも、日々のビタミンB1の摂取量を手軽に増やすことが可能です。
アリシン(ビタミンB1の吸収を高める)
独特の強い香り成分であるアリシンは、ビタミンB1と結合してその吸収率を飛躍的に高め、効果を長持ちさせる働きがあります。ビタミンB1が豊富な豚肉と、アリシンを含むニラやにんにくを一緒に炒めて食べるなど、食材を組み合わせたメニューにすることで、効率よくスタミナを増強できます。
クエン酸(疲労回復・代謝促進)
クエン酸は、細胞内でエネルギーを生み出す回路(クエン酸回路)を活性化させ、疲労の蓄積を防いで効率よく体力を回復させる効果があります。
また、特有の爽やかな酸味が味覚や嗅覚を刺激することで、唾液や胃液の分泌を促します。低下してしまった食欲を自然に湧き立たせるためにも、夏に最適な栄養素です。
タンパク質(筋肉や体力を維持する)
タンパク質は、私たちの筋肉や内臓、免疫力を維持するための基礎となる重要な栄養素です。夏バテで胃腸が弱っている時は、脂っぽくなく消化吸収に優れた食材を選ぶのがポイントです。
鶏むね肉や豆腐、卵、白身魚などは、お腹に負担をかけずに良質なタンパク質を補給できるため、おすすめです。
カリウム(水分バランスを整える)
カリウムは、汗とともに失われがちなミネラルであり、体内の水分バランスや塩分濃度を適切に調整する役割を持っています。トマトやきゅうり、スイカといった旬の夏野菜には、このカリウムと水分がたっぷりと含まれています。利尿作用を促し、体にこもった余分な熱を逃がすのにも役立ちます。
3.夏バテを悪化させるNGな食事習慣

「スタミナをつけよう」「体を冷やして涼もう」という良かれと思った行動が、実は夏バテをさらに悪化させているかもしれません。体力が落ちてしまいがちな夏だからこそ、胃腸に追い打ちをかけるような食事習慣は禁物です。ここでは、夏バテを悪化させかねない食事習慣について解説します。
甘いジュースを多く飲む
暑い季節に飲みたくなるスポーツドリンクや清涼飲料水は、飲みすぎると糖質の過剰摂取につながります。体内で糖質を処理するためにビタミンB1が大量に消費され、かえって激しい倦怠感を招く原因になりかねません。
さらに、血糖値の急激な乱高下を引き起こすことで、体のだるさや強い眠気を悪化させてしまうため注意が必要です。
冷たい食べ物・飲み物ばかりを摂取する
エアコンで冷えた室内にいるにもかかわらず、冷たい麺類やサラダ、冷たい飲み物ばかりを選んでいると、体が芯から冷え切ってしまいます。体温が下がると血行不良を招き、自律神経の乱れや全身の倦怠感をさらに悪化させます。
また、冷たいビールやアイスなども、大量に摂取すると胃粘膜の血管が急激に収縮し、胃腸の消化機能が低下します。なお、アルコールやカフェインを多く含む緑茶・コーヒーなどは体から水分を逃してしまうため、水分補給とは別に考えることが大切です。
脂質の多い食事を摂る
「スタミナをつけなければ」と、弱った体に無理をして脂っこい肉料理を食べるのは逆効果です。夏バテ気味の胃腸にとって、過剰な脂質の消化は大きな負担となります。消化しきれずに残った油分が胃もたれや消化不良を引き起こし、かえって食欲不振を悪化させる原因になるため注意しましょう。
4.食欲が出ない時の調理の工夫

しっかり栄養を摂りたいと思っていても、どうしても食欲が湧かない時もあるかもしれません。そんな時は、食材の選び方だけでなく、調理法や味付けに少し工夫を凝らしてみましょう。弱った胃腸に負担をかけず、自然と食欲を呼び起こすための、手軽に実践できる方法を紹介します。
スパイスで胃液の分泌を促す
ショウガや唐辛子、カレー粉などに含まれる辛み成分や特有の香りは、胃の粘膜を適度に刺激して胃液や消化酵素の分泌を活発にしてくれます。また、五感を刺激することで低下した食欲を自然に呼び起こす効果もあります。
食欲がない日こそ、料理の味付けに少量のスパイスを上手に活用してみましょう。ただし、唐辛子などの強い辛みは胃に負担をかけることもあるため、ごく少量から試すことをおすすめします。
酸味を活用して唾液と食欲を刺激する
さっぱりとした酸味は、味覚を刺激して唾液の分泌を即座に促すため、一口目からの食欲を刺激するのに効果的です。料理の仕上げにレモンやすだちをひと搾りしたり、おかずに梅干しやお酢を和えたりする工夫がおすすめです。さっぱりとした風味に変わるため、暑い日でも箸が進みやすくなります。
食材の喉越しを利用する
食べ物を噛んだり飲み込んだりすること自体が億劫な時は、喉越しの良い食材を活用しましょう。とろろ、オクラ、納豆などのネバネバ食材は、スムーズに喉を通るため食欲がない時でも食べやすいのが魅力です。また、これらの粘り気成分は胃の粘膜を保護し、消化吸収を助ける優しい働きもあります。
料理の温度を調整する
食事の温度にも工夫が必要です。料理を人肌から常温程度(30〜40℃前後)に調整してみましょう。熱すぎず冷たすぎない適度な温度にすることで、胃腸に温度差による強い刺激を与えずに済みます。内臓への負担が最小限に抑えられるため、弱った胃腸でも栄養をスムーズに吸収できます。
5.まとめ
夏バテを克服する食事対策は、単に食べる量を増やすことではなく、胃腸に負担をかけないように必要な栄養素を摂取することが肝心です。
冷えや栄養の偏りを防ぎ、必要な栄養素をバランスよく摂取しながら、調理法や温度にひと工夫加えることで、厳しい夏の暑さを乗り切りましょう。

