
紫外線は季節や天気にかかわらず、一年中、私たちの身体に降り注いでいます。日々少しずつ蓄積する紫外線ダメージは、将来発生するシミやシワだけでなく、皮膚がんや白内障といった健康リスクにもつながるため、毎日の対策が欠かせません。
本記事では、紫外線の種類や身体への影響、具体的な対策方法、そして日焼け止めの選び方・塗り方のコツを分かりやすく解説します。
1.紫外線とは
太陽光には目に見える可視光線のほかに、目には見えない光も含まれています。そのひとつが「紫外線(UV)」です。紫外線は波長の違いでUV-C・UV-B・UV-Aの3種類に分かれますが、最も有害なUV-Cはオゾン層に吸収されるため、地上に届くのは主に「UV-B」と「UV-A」です。

UV-Bは肌の表面に急激な炎症を起こしやすく、日焼けや赤みの主な原因になります。一方、UV-Aは皮膚の奥(真皮)にまで届き、じわじわとダメージを蓄積させます。さらに、曇りの日や窓越しでも降り注ぐため、一年を通して注意が必要です。
2.紫外線によるダメージ
紫外線は、日焼けだけでなく長い年月をかけて肌や身体にさまざまな影響を与えます。ここでは、代表的な4つの影響について詳しく見ていきましょう。
日焼け
日焼けは紫外線による皮膚の炎症反応です。UV-Bによって肌が赤くヒリヒリする「サンバーン(日光皮膚炎)」と、その後メラニン色素が生成され肌が黒くなる「サンタン」があります。特にサンバーンは軽いやけどと同じ状態で、肌細胞を大きく傷つけます。
光老化
肌の老化原因の約8割は、紫外線による「光老化」と言われます。特にUV-Aは、肌のハリを支えるコラーゲンやエラスチンを破壊するため、長年の蓄積によってシワやたるみといった老化サインとして現れます。
皮膚がん
紫外線は皮膚細胞のDNAを傷つけ、その修復エラーが積み重なることで、皮膚がんを発症するリスクを高めます。特に細胞分裂が活発な子どもの頃に浴びた紫外線の影響は大きいため、早期からの対策が重要です。
目への影響
紫外線は目にもダメージを与えます。強い紫外線を浴びると角膜が炎症を起こす「雪目」の原因となったり、長期的には水晶体が濁る「白内障」の進行を早めたりすることが知られています。
3.紫外線対策の方法

日常生活において紫外線を完全に避けるのは困難と言えますが、日頃から少し意識を変えるだけでダメージを軽減することができます。
日焼け止めを塗る
日焼け止めは紫外線を吸収または散乱させて、肌へ届く紫外線量を抑える働きがあります。シーンに合った「SPF」「PA」指数の製品を選び、十分な量をムラなく塗りましょう。汗をかいた後や2〜3時間おきに塗り直すことで効果が持続します。
日傘や帽子、サングラスを活用する
物理的に紫外線を遮るアイテムの併用も有効です。UVカット機能のある日傘や帽子で顔周りを、サングラスで目を守りましょう。サングラスはレンズの色ではなく「紫外線カット率」で選ぶことが大切です。
日陰を利用する
屋外では日陰を選んで行動するだけでも、浴びる紫外線量を減らすことができます。ただし、空気中で散乱する光や地面からの反射もあるため、日陰でも日焼け止めなどの対策は必ず併用してください。
紫外線の強い時間帯の外出は避ける
紫外線量は午前10時〜午後2時にピークを迎えます。この時間帯の長時間の外出を避けたり、活動時間をずらしたりする工夫も効果的です。
4.紫外線対策に役立つ日焼け止めの選び方

紫外線対策の基本となる日焼け止めは、種類や成分、使用感がさまざまです。自分の生活スタイルや肌質に合わせて最適なものを選ぶことで、より快適で効果的なケアが可能になります。
シーンに合わせた「SPF」と「PA」
日焼け止めのパッケージに必ず表示されている「SPF」と「PA」は、製品の紫外線防御能力を示す重要な指標です。
SPF (Sun Protection Factor) : 主にUV-Bを防ぐ効果を示します。数値が大きいほど、肌が赤くなる日焼け(サンバーン)を防ぐ効果が長く続きます。
PA (Protection Grade of UVA) : 主にUV-Aを防ぐ効果を示します。「+」の数で表され、数が多いほど防御効果が高くなります。
ただし、数値が高ければ高いほど良いというわけではありません。肌への負担も考慮し、生活シーンに合わせて適切に使い分けることが理想的です。
【選び方の目安】
- 日常生活(通勤・買い物など) : SPF15〜30 / PA++〜+++
- 屋外での軽いスポーツやレジャー : SPF30〜50 / PA+++〜++++
- 炎天下での活動や海・山 : SPF50+ / PA+++++
季節や好みの使用感に合ったテクスチャー
毎日快適に使い続けるためには、使用感も重要なポイントです。日焼け止めには、クリーム、乳液(ミルク)、ジェル、スプレーなど多様なタイプがあります。保湿力が高くしっとりした使用感のクリームや乳液、みずみずしくさっぱりした使用感のジェル、髪や背中など塗りにくい部分にも手軽に使えるスプレーなど、好みや用途に応じて選びましょう。
有効成分配合の日焼け止めならスキンケアにも◎
最近の日焼け止めには、単に紫外線を防ぐだけでなく、保湿成分や美白成分といったスキンケアができる有効成分を配合したものが増えています。
例えば、ヒアルロン酸やセラミドなどの保湿成分、ナイアシンアミドやビタミンC誘導体、トラネキサム酸などの美白成分などが挙げられます。これらの成分を配合した日焼け止めは、日中の紫外線対策と同時にスキンケアも重視したい方におすすめです。
敏感肌の方はノンケミカル処方がおすすめ
日焼け止めには、紫外線を化学的に吸収する「紫外線吸収剤」を使用したものと、物理的に反射させる「紫外線散乱剤」のみを使用した「ノンケミカル処方」のものがあります。
ノンケミカル処方であれば、肌への刺激が少なく、敏感肌の方や小さなお子様でも使いやすいでしょう。また、アルコールや香料、着色料などが含まれていない無添加・低刺激処方を選ぶのもおすすめです。
5.日焼け止めの正しい塗り方
日焼け止めの効果は、塗り方次第で大きく変わります。効果を最大限に引き出すポイントを押さえておきましょう。
まず、顔には「500円玉大(液体)またはパール粒2個分(クリーム)」を目安に十分な量を使います。顔の5点に置き、中心から外側へ丁寧に伸ばしましょう。
身体には、肌に直接線状に出してから、手のひらで大きく円を描くようになじませるとムラなく塗れます。首の後ろや耳、足の甲など忘れやすい部分も意識して塗り、汗をかいた後や2〜3時間おきに塗り直すことを習慣にしましょう。
6.紫外線対策は毎日の積み重ねが大切!
紫外線対策は、シミやシワを防ぐだけでなく、皮膚がんなどのリスクを下げるためにも欠かせません。日焼け止めの正しい使い方に加え、日傘やサングラスなどの工夫を組み合わせることで、ダメージは効果的に抑えられます。今日から無理なく続けられる方法を取り入れて、未来の肌と身体を守りましょう。



