情報掲載日:2025/12/23
【医師監修】胃痛の原因は?考えられる病気や痛みを和らげる対処法を解説

胃痛は、多くの人が日常的に経験する身近な症状です。つい「そのうち治るはず」と様子を見てしまいがちですが、生活習慣の乱れやストレス、さらには病気が隠れていることもあります。

本記事では、胃痛が示すサインや主な原因、考えられる病気について分かりやすく解説します。あわせて、痛みを和らげる対処法や、繰り返さないためのセルフケアのポイントも紹介します。

1.胃痛の主な症状

胃痛の主な症状

一般的に「胃痛」といっても、その症状は人によってさまざまです。みぞおちがキリキリ痛む、重苦しさが続く、シクシクとうずくように痛むなど、痛みの種類や場所も異なります。

胃の不調に伴って多くみられる症状には、以下のようなものがあります。

  • 食欲不振
    胃の働きが低下すると消化が進まず、胃もたれや膨満感が続いて食欲が落ちます。
  • 膨満感
    ガスが溜まったり消化不良が起きたりすることで、お腹が張って苦しく感じます。
  • 胸やけ・ゲップ
    胃酸が食道へ逆流すると、胸やけや呑酸(酸っぱいものが上がる)が起こります。また、胃の機能が弱まることでガスが発生しやすくなり、ゲップも増えます。
  • 吐き気
    胃の動きが鈍ると、食べ物がうまく送られず吐き気や嘔吐につながります。
  • 吐血・下血
    胃や十二指腸から出血すると、コーヒー色〜鮮血の吐血や、黒くタール状の便が出ることがあります。重篤な病気の可能性があるため、すぐに医療機関の受診が必要です。

2.胃痛の原因

胃痛の原因

胃痛には複数の要因が重なっていることが多く、気づかないうちに胃へ負担をかけている場合があります。ここでは、主な原因を紹介します。

食生活

暴飲暴食や早食いは胃酸の過剰分泌を招き、胃粘膜に負担をかけます。

香辛料などの刺激物、熱すぎるもの・冷たすぎるもの、油っこいもの、アルコールの過剰摂取なども、胃粘膜を刺激して胃の働きを乱す原因です。また、不規則な食事や寝る直前の食事は、胃が休む時間を奪い、胃酸分泌のリズムを乱してしまいます。

ストレス

胃の働きは自律神経によって調整されています。強いストレスで自律神経のバランスが乱れると、胃酸が過剰に出たり、胃粘膜を守る力が低下したりして胃痛を起こします。ストレスは現代人にとってとても身近な負担で、胃痛の大きな原因の一つとされています。

ヘリコバクター・ピロリ(ピロリ菌)

ピロリ菌は胃粘膜にすみつき、慢性的な炎症を引き起こします。長期的には胃粘膜が傷つきやすくなり、慢性胃炎や胃潰瘍、さらには胃がんにつながることもあります。感染していても症状があまり出ない場合もありますが、原因不明の胃痛や胃もたれが続く背景に、ピロリ菌が関わっているケースは少なくありません。


3.胃痛を引き起こす可能性のある病気

一時的な胃の不調に思えても、痛みが続く場合は病気が関係していることがあります。特に注意したい代表的な病気を紹介します。

急性胃炎

暴飲暴食、ストレス、薬の副作用、細菌・ウイルス感染などが原因で、胃粘膜に急激な炎症が起こります。突然の激しいみぞおちの痛みをはじめ、吐き気・嘔吐・下痢などの症状が現れますが、通常原因が取り除かれれば比較的早く治ります。

慢性胃炎

長期間胃粘膜に炎症が続く状態で、主な原因はピロリ菌です。また、加齢や自己免疫の働きによる影響が関わることもあります。胃もたれや食後のむかつき、みぞおちの鈍痛などがみられ、急性胃炎よりも症状は穏やかですが、放置すると胃潰瘍へ進行することがあります。

食中毒

細菌やウイルスで汚染された食品を摂取することで発症します。強い胃痛や腹痛のほか、嘔吐、下痢、発熱などの症状が急激に現れ、集団で同じ症状が出ることもあります。

逆流性食道炎

胃酸が食道へ逆流して粘膜に炎症を起こす病気です。胸やけ、呑酸(口の中に酸っぱい味が広がる)、のどの違和感などが主な症状で、胃痛として感じられることもあります。脂っこい食事や食後すぐに横になる習慣は症状が悪化する要因です。

胃・十二指腸潰瘍

胃酸や消化酵素の影響で粘膜が深く傷ついた状態です。原因の多くは、ピロリ菌感染や、痛み止めや解熱剤として使われる非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)の使用です。

  • 胃潰瘍 : 食後〜数時間後に痛みが出やすい
  • 十二指腸潰瘍 : 空腹時や夜間に痛みが強く、食事をすると一時的に和らぎやすい

どちらもキリキリとした痛みや重苦しさを伴い、重症化すると出血や穿孔(胃に穴があくこと)を起こす危険があるため注意が必要です。

機能性ディスペプシア

内視鏡では異常が見られないにもかかわらず、胃の動きや知覚に問題がある病気です。胃もたれ、早期満腹感、みぞおちの痛みや焼けるような不快感が慢性的に続きます。ストレスや不規則な生活、食習慣などが深く関わっているとされ、現代人に多い胃の不調の一つです。


4.胃痛の改善方法

胃痛の改善方法

つらい胃の痛みを和らげるには、日々のセルフケアが欠かせません。胃に負担をかけない生活習慣を身につけることで、症状の改善はもちろん、再発予防にもつながります。

市販の胃薬を活用する

症状に合った市販薬を使えば、胃痛の緩和に役立ちます。胃酸を中和する制酸剤、胃粘膜を保護する粘膜修復剤、胃の働きを助ける消化酵素や健胃生薬など種類が多いため、症状に合わせて選びましょう。ただし、薬だけに頼らず、生活習慣の改善も並行して行ってください。

胃にやさしい食事を心がける

脂肪分や食物繊維が多い食品は避け、柔らかく消化しやすい調理法を選びましょう。さらに、香辛料や熱すぎる・冷たすぎる飲み物、アルコール、カフェインなどの刺激物は控えるか、量を減らすことが大切です。

食事の際は、一口30回を目安によく噛み、ゆっくり食べることで胃の負担を軽減できます。腹八分目を意識することも心がけましょう。

ストレスを解消する

自律神経のバランスを整えるためには、自分に合ったストレス解消法を取り入れることが大切です。ウォーキングやストレッチなどの軽い運動は、自律神経を整えるのに効果的。趣味の時間をつくったり、ぬるめのお湯にゆっくり浸かったりすることもリラックスにつながります。ただし、疲れているときは無理をせず、しっかり休息をとりましょう。

十分な睡眠をとる

睡眠は、傷ついた胃粘膜を修復するために欠かせません。十分な睡眠をとり、生活リズムを整えることで、胃のコンディションを良好に保てます。また、寝る直前の食事は胃に負担がかかるため、就寝3時間前までに済ませるのが理想です。

禁煙する

タバコに含まれるニコチンは血管を収縮させ、胃粘膜への血流を低下させます。その結果、胃酸への防御力が弱まり、胃痛の原因になることも。日頃から喫煙習慣がある方は、胃のためにも禁煙を意識して取り組みましょう。


5.生活習慣の改善と適切なケアで、胃の不調を軽減しよう

胃痛は、生活習慣の見直しや市販薬の活用で改善が期待できます。まずは、食事やストレス管理、睡眠など、日々の習慣からできることを整えていきましょう。生活改善をしても症状が続く場合や、痛みが強いときは早めに医療機関へ相談を。早期の受診が胃の健康を守ります。