
くしゃみが続くと、「風邪かもしれない」「花粉症かな?」と気になる方も多いのではないでしょうか。季節の変わり目や環境の変化など、くしゃみの原因はさまざまです。なかには、アレルギーや感染症が関係しているケースもあり、適切な対処を行うためには原因を見極めることが欠かせません。
本記事では、くしゃみが起こるメカニズムをはじめ、くしゃみの原因となる症状やセルフケアの方法、受診の目安について分かりやすく解説します。
1.くしゃみが出るメカニズム

くしゃみは、鼻の中に入った異物や刺激物を体外に排出しようとする、防御反応のひとつです。鼻腔に侵入したホコリや花粉、ウイルスなどの異物を鼻が感知すると、三叉神経を通じて脳の「くしゃみ中枢」に信号が送られます。すると、私たちは大きく息を吸い込み、のどや口を閉じて鼻腔内の圧力を高めたあと、強い勢いで空気を吐き出します。高速(100〜150km/h相当)な気流によって、異物を外へと押し出しているのです。
くしゃみは本来、体を守るための重要な機能ですが、頻繁に繰り返されたり、長期間続いたりする場合には、何らかの疾患や環境要因が関係している可能性もあります。
2.くしゃみの主な原因

くしゃみを引き起こす原因はさまざまですが、ここでは代表的な4つを紹介します。
風邪
風邪によるくしゃみは、ウイルスが鼻や喉の粘膜に感染して炎症を起こすことで生じます。くしゃみのほかに、鼻水、喉の痛み、発熱、咳などが伴うのが特徴です。通常、症状は数日から1週間程度で自然に治まります。
アレルギー性鼻炎
アレルギー性鼻炎は、花粉やハウスダスト、ダニなどのアレルゲンが鼻の粘膜を刺激し、くしゃみ、鼻水、鼻づまりといった症状を引き起こします。
アレルゲンが原因となるため、季節によって症状が出る季節性アレルギー(スギ、ヒノキ、ブタクサなど)と、一年中症状が出る通年性アレルギー(ハウスダスト、ダニなど)に分けられます。アレルゲンにさらされた直後に、くしゃみが立て続けに連発するのが特徴です。また、目のかゆみや涙、肌荒れなど、鼻以外の症状が出ることもあります。
寒暖差アレルギー
医学的には「血管運動性鼻炎」と呼ばれる寒暖差アレルギーは、温度や湿度の急激な変化によって鼻粘膜の血管が拡張し、くしゃみや鼻水を招く状態です。
アレルギーと名前がついていますが、花粉やハウスダストなどの免疫反応によるものではなく、自律神経の乱れが原因と考えられています。朝晩の寒暖差が激しい季節や、エアコンの効いた部屋から暑い屋外に出たときなど、室内外の温度差が大きい環境で症状が出やすくなります。
モーニングアタック
モーニングアタックとは、医学的な疾患名ではありませんが、朝起きた直後にくしゃみが止まらなくなる現象です。主にアレルギー性鼻炎や寒暖差アレルギーに関連しており、ホコリやダニ、乾燥など就寝中の室内環境や、起床時の体温変化が誘因となります。頻繁に起こる場合は、生活環境の見直しが必要です。
3.くしゃみの対処法

くしゃみの原因によって対処法は異なります。それぞれのタイプに応じた適切な対処法を知っておけば、不快感を軽減し、症状の悪化を防ぐことができます。
風邪の場合
風邪が原因のくしゃみは、安静にしてしっかりと休息を取ることが最も大切です。体を冷やさないよう室温を25℃くらいに保ち、加湿器を使ったりマスクを着用したりして、鼻やのどの乾燥を防ぎましょう。
また、水分補給も欠かせません。温かいお茶やスープでのどをうるおしながら、消化に良い食事を摂ることで、体力の回復を促しましょう。市販の風邪薬や鼻炎薬を使う場合は、用法・用量を守り、薬剤師に相談したうえで使用するのが安心です。
アレルギー性鼻炎の場合
アレルギー性鼻炎では、アレルゲンをできるだけ避けることが対処の基本です。
花粉が原因であれば、飛散の多い時期の外出を控えたり、外出時にはマスクやメガネを着用したりするのが効果的です。帰宅後は服についた花粉を払い、うがい、手洗い、洗顔を忘れずに行いましょう。
ハウスダストやダニが原因であれば、室内のこまめな清掃が最優先です。特に寝具は頻繁に洗濯し、布団乾燥機や防ダニカバーを活用するとよいでしょう。
症状が強い場合は、医療機関を受診し、抗ヒスタミン薬やステロイド点鼻薬などの薬物療法を検討してみてください。根本的な治療として、アレルゲンを少しずつ体に慣らす「舌下免疫療法」も選択肢のひとつです。
寒暖差アレルギーの場合
寒暖差アレルギーは、急激な温度変化が原因であるため、室温を適切に保ち、温度差を少なくすることが重要です。外出時は温度差に備えて重ね着をし、マフラーやストールで首元を冷やさないようにしましょう。
鼻の粘膜を温めるために、蒸しタオルを鼻に当てたり、温かい飲み物で内側から体を温めたりするのも効果的です。
モーニングアタックの場合
モーニングアタックは、寝室の環境改善が不可欠です。アレルゲンとなるハウスダストやダニの対策として、寝室のこまめな掃除を徹底し、寝具は頻繁に洗濯しましょう。
起床時に症状が出やすい場合は、起き上がる前に布団の中で軽く体を動かしたり、水分を摂ったりすることで、鼻への刺激を和らげられます。就寝中に冷気やハウスダストの吸入を抑えるために、マスクを着用して寝るのも有効です。
4.医療機関を受診する目安
多くのくしゃみは一時的で、生活改善やセルフケアで緩和されます。しかし、以下のような症状がある場合は、医療機関の受診を検討しましょう。
- くしゃみが2週間以上続く
- 市販薬で症状が改善しない
- 発熱や激しい咳、倦怠感などの全身症状がある
- 顔の痛みやしびれがある
- 症状が日常生活に支障をきたしている
くしゃみや鼻水、鼻づまりなどの症状が続く場合は、自己判断せず、早めに耳鼻咽喉科を受診しましょう。
特にアレルギーが疑われる場合は、アレルギー科を併設している医療機関を選ぶと、より専門的な検査や治療を受けられます。受診時には、「症状がいつから出ているか」「どのようなタイミングで悪化するか」など具体的な経過や生活習慣を伝えると、スムーズな診断につながります。気になることは遠慮せずに医師に相談し、適切な治療を受けることが大切です。
5.止まらないくしゃみには要注意!早期受診で適切な対応を
くしゃみは一時的な不調のサインである場合もあれば、慢性的な疾患の一症状であることもあります。症状の特徴に応じた対処を心がけるとともに、改善が見られない場合や日常生活に支障をきたすようであれば、早めに専門医を受診することが重要です。適切なケアを受けることで、症状の緩和や根本的な改善につながります。