情報掲載日:2025/05/26
【医師監修】眼精疲労から頭痛が起こるのはなぜ?治し方や予防策も解説

パソコンやスマートフォンを使っていて「目の奥が痛い」「頭痛がする」と感じたことはありませんか?それらの症状は、もしかすると「眼精疲労」が原因かもしれません。

本記事では、眼精疲労の症状や原因、頭痛との関係をはじめ、頭痛を緩和する方法や予防策まで、分かりやすく解説します。

1.眼精疲労とは?

眼精疲労とは?

眼精疲労は、目のかすみや痛み、乾燥感といった目の症状に加えて、こめかみの痛みや首・肩のこり、ふらつき、全身の重だるさなどが続く状態です。目を休ませてもなかなか回復せず、日常生活に支障をきたすこともあります。

一般的に「疲れ目」は目を使いすぎたあとに一時的に感じる違和感で、少し目を休めれば自然と回復します。一方、眼精疲労は休息を取っても症状が続いたり再発したりするため、単なる疲れとは区別されています。

眼精疲労は、白内障や緑内障、ドライアイといった目の疾患が背景にあることも少なくなく、専門的な検査や治療が必要になる場合もあります。

眼精疲労をセルフチェック!

目の症状に伴い、全身の症状も自覚している場合は、眼精疲労のサインかもしれません。以下のチェックリストを参考に、自分の状態を見直してみましょう。

【目の症状】

  • 目の奥がズキズキとする、または熱っぽく感じる
  • 視界がぼやけてピントが合いにくい
  • 目を開けているのがつらくなる
  • まばたきのたびに目がゴロゴロする
  • 涙が出やすい、または乾きを強く感じる
  • まぶたがピクピクと動いて止まらない
  • 充血が頻繁に起こる
  • 文字を読むのが苦痛に感じることがある

【全身の症状】

  • こめかみや額のあたりがズーンと重い
  • 首や肩が常に張っていてマッサージでも改善しにくい
  • 気分が悪くなることがあり、特に長時間の作業後に強く出る
  • 画面を見ていると眠気やだるさが急に襲ってくる
  • 頭がぼーっとして集中力が続かない
  • 目の不快感と連動して吐き気を感じることがある

2.眼精疲労を引き起こす原因

眼精疲労を引き起こす原因

眼精疲労の原因はさまざまであり、それらが絡み合って起こるとされています。その中でも、主な要因としては次の3つが挙げられます。

パソコンやスマホの長時間使用

現代の眼精疲労は、長時間のディスプレイ作業(VDT作業)が主な原因です。目に刺激を与えるブルーライトをはじめ、まばたきの減少、画面の位置やいすの高さが合っていないことによる姿勢の悪さなどが影響します。さらに、照明が明るすぎたり暗すぎたりといった照明環境も、目や身体に負担をかけて症状を悪化させます。

メガネやコンタクトレンズの不適合

メガネやコンタクトレンズなどの視力矯正器具が合っていないと、目のピント調節機能に負担がかかり、目の筋肉が疲弊します。特にコンタクトの場合は、酸素透過率が低いと目が酸素不足になり、眼精疲労を引き起こしやすくなります。

目や身体の病気

眼精疲労は目の使いすぎだけでなく、目や身体の疾患が原因となることもあります。目の病気では、白内障、緑内障、ドライアイ、近視・乱視・老眼、斜視、眼瞼下垂などが挙げられます。また、身体の不調が引き金になることもあり、風邪やインフルエンザ、糖尿病・高血圧などの生活習慣病、更年期障害や自律神経の乱れが関係している場合もあります。


3.眼精疲労で頭痛が起こるのはなぜ?

私たちが物を見るとき、目の中でピントを調節する役割を果たしているのが「毛様体筋(もうようたいきん)」という筋肉です。パソコンやスマートフォンなどで近くのものを長時間見続けると、この筋肉が常に収縮した状態になり、目の奥に疲れが溜まります。その結果、目の周囲や額、こめかみまで緊張が広がり、いわゆる「緊張型頭痛」が引き起こされます。

また、長時間の画面作業で姿勢が前かがみや猫背になると、首の筋肉が硬直し、血流が悪化します。これが首から頭部への血流の滞りを引き起こし、緊張型頭痛を悪化させる原因となります。


4.眼精疲労による頭痛を緩和する方法

眼精疲労による頭痛を緩和する方法

眼精疲労によって頭痛が生じている場合は、ここで紹介する解消法を試してみてください。症状の改善が見られずに長引く場合は、早めに眼科を受診して原因を確認しましょう。

目元を温める

目の疲れを和らげるには、目元を温めることが効果的です。温めることで血流が改善され、目の周囲の筋肉がリラックスします。

清潔なタオルを水で濡らし、電子レンジで数秒間温めるだけで、簡単に蒸しタオルが作れます。目の上に数分間のせておけば、目のまわりの緊張をやさしくほぐすことができます。また、市販の温熱アイマスクを使うのも便利です。ただし、目の周辺は非常にデリケートな部位のため、熱すぎる温度での使用や、過度な頻度での使用は避けるようにしましょう。

ツボを押す

正しいツボ押しで筋肉のこわばりがほぐれ、血行が促進され、リラックス効果が得られます。眼精疲労による頭痛を緩和するには、「太陽」と「風池」のツボが効果的です。

【太陽】

目じりからこめかみ内側のくぼみにあるツボで、血流改善やこめかみの頭痛緩和に役立ちます。指で軽く圧をかけ、円を描くようにマッサージしましょう。

【風池】

首の後ろ、髪の生え際あたりのくぼみのツボです。ここを刺激することで、首や肩の緊張を和らげ、頭痛緩和が期待できます。親指でじんわりと押し上げましょう。

ツボ押しは、痛みを感じない「気持ちいい」と感じる強さで、深呼吸をしながらリラックスして行うとより効果的です。

ビタミンAを積極的に摂取する

ビタミンAは、網膜の「ロドプシン」の主成分で、正常な視覚機能の維持に不可欠です。また、上皮細胞の健康を守り、目の乾燥や不快感、疲れを軽減する効果もあります。ビタミンAを多く含む食品には、レバー、うなぎ、卵、にんじん、ほうれん草、かぼちゃなどがあり、食事から補うことができます。

もし食事だけで十分な量を摂取するのが難しい場合は、サプリメントを活用するのもおすすめです。ただし、ビタミンAは脂質と一緒に吸収されやすく、体内に蓄積されやすい性質があるため、過剰摂取にならないよう注意しましょう。

市販の目薬を活用する

眼精疲労による目の症状を手軽に和らげるには、市販の目薬も有効です。ピント調節が難しくなった場合は、目の筋肉に作用する成分を含むものを選び、乾燥を感じる時は目の潤いを補ってくれる目薬を使うなど、症状に応じた目薬を選びましょう。


5.眼精疲労による頭痛の予防策

眼精疲労による頭痛の予防策

眼精疲労による頭痛に悩まされないために、日頃から次のようなポイントを意識することが大切です。

生活習慣を見直す

パソコンやタブレット、スマートフォン、テレビゲームなど、デジタル機器の長時間の使用はなるべく避けるよう意識しましょう。つい画面を見続けてしまう場合は、屋外を散歩する、軽い運動を習慣化するなど工夫することで、意識的に目を使わない時間を確保できます。

また、目の健康を保つには食生活の見直しも欠かせません。緑黄色野菜や青魚、ベリー類、ナッツ類といった食品には、目の機能維持に必要な栄養素が豊富に含まれており、無理なく摂取することで内側からのケアに役立ちます。

適度な休息を取る

目の疲れをため込まないために、定期的な休息を取りましょう。パソコンやスマートフォンなどを長時間使用する際は、なるべく1時間に1回10~15分程度の休憩を取ることをおすすめします。休憩中は、遠くの景色を眺める、目を閉じてリラックスする、軽いストレッチをするなど、目の筋肉を休ませると効果的です。

視力に合うメガネやコンタクトレンズを使用する

自分の視力に合ったメガネやコンタクトレンズを選ぶだけでなく、パソコン作業を行う時は「デスクワーク用」など専用のレンズを使うことも有効です。眼科やメガネ店での定期的な視力検査を受け、自分の作業環境に適した度数に調整しておきましょう。

作業環境を整える

モニターとの距離や高さ、照明の明るさ、空調の位置など、自分のライフスタイルに合った作業環境を整えることが、目の負担軽減につながります。

モニターは目線より少し下に配置し、目との距離を40~70cm程度に保つのが理想です。画面の明るさは周囲の照明に合わせて調整し、まぶしさや反射を避けることで、目の緊張を和らげます。また、エアコンの風が直接目に当たらないよう、風向きを調整したり、加湿器を使ったりすることも効果的です。


6.生活習慣を見直して眼精疲労を防ぎましょう!

眼精疲労は、目の不快感だけでなく頭痛や肩こりなど全身の不調を引き起こす原因になります。日々の過ごし方や作業環境を見直すことで、症状の緩和や予防が可能です。目を酷使しがちな現代だからこそ、適切なケアと生活習慣の改善で、目の健康を守っていきましょう。